マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン主演の1970年公開の名作です。制作はイタリア・フランス・ソ連の合作です。音楽は有名なヘンリー・マンシーニのこちらも名曲で、音楽を聞けば映画の場面が思い浮かぶという方も多いでしょう。のちの音楽家たちに多大な影響を及ぼしているのではないかと思います。私の世代だと宇宙戦艦ヤマトの曲などに使われている曲にもインスパイアされている気がします。
物語は第二次大戦時代。一言で言えば悲恋映画の括りに入ると思うのですが、おそらく似たような状況は世界各国で起きていたのではないかと思います。悲恋と言いましたが、主人公の二人は恋を実らせ無事に結婚をしています。ただ、その愛し合う二人を戦争という不条理が引き裂くことになるんですね。誰が悪いわけでもない、しいていえば戦争という何も生み出さないものに翻弄された運命が悪いとさえ言えるわけですが、最終的に二人が不幸であったのかと言えば決してそうではないでしょう。
映画の中の世界ももちろんいいのですが、私は主役の二人の大人びた姿が、その昔まさに日本人が憧れていた大人の世界なのではないかと言う気がします。ソフィア・ローレンは美しいというよりもむしろ凛々しい感じがしますが、マルチェロ・マストロヤンニも渋い。陽気なイタリア人がシリアスな映画を作るとこんなにも素晴らしいものが出来るのというのがよくわかります。
ただ、電車の中から一面のひまわり畑を映しているカットがあるんですが、はっきり言って酔います。今はビデオカメラでもGOPROなどのようにブレを防いでいるものがほとんどですが、当時のカメラの限界だったのでしょうか。臨場感を通り越して気持ち悪くなってしまうのは少々残念な気がします。蛇足になりますが酔うという点で思い出しましたが、西田敏行さん主役の「陽はまた昇る」という、こちらはビデオのBETA対VHS戦争を題材にした映画ですが、これも見ていて酔ってしまう場面が何箇所があったんですよね。出演陣に渡辺謙さんがいたりして結構贅沢な映画なんですが、関係ないところでマイナス要素があるのはちょっともったいない気がします。
話を戻してひまわりですが、一面に広がるひまわり畑は、戦時中に亡くなった兵士や市民の死屍累々の墓標でもあるわけです。ソフィアローレン演じる主人公は、消息不明となっている夫を探している途中にその多くの墓に案内されても、どこかで必ず生きているという希望を捨てません。その強さがこの映画を悲愴感で終わらせない良さなのだと思いますが、同時に戦争の無益さを表しているのだろうと思います。
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