【映画レビュー】ディア・ドクター

最近無料動画のGyaOでは、キネマ旬報ベスト10作品や、日本アカデミー賞受賞作品などを配信しています。こちらは今から10年前の2009年に公開された笑福亭鶴瓶主演の医療ドラマになりますが、背景に地方の過疎化や高齢化と言った社会問題があります。笑福亭鶴瓶はたしかテレビドラマの「ブラックジャックによろしく」でも医師役を演じていたと思いますが、これが初主演映画ですか。

僻地医療に関したドラマは、吉岡秀隆さん主演でテレビドラマになった『Dr.コトー診療所』などもありますが、あちらは難しい外科手術もこなせるスーパードクターでした。同じように天才医師の活躍する医療ドラマは枚挙にいとまがないほど多いですが、それは全てドラマの上でのお話で、実際の臨床ではそんなにドラマチックな展開ばかりではないでしょう。むしろ老齢からくる持病の糖尿とか高血圧とか、生活習慣病に根ざした病気が多いのではないかと思います。その証拠に今は大きな病院の待合室は、老人ホームかと見紛うくらいにお年寄りが溢れています。

高齢者が多く住んでいる田舎の過疎地域では、現実問題として医者のみならず、買い物の出来る商店や日常生活におけるデイサービスのようなものも圧倒的に不足していることでしょう。そうした限界集落にあって、病院が一つもなく、医者が一人もいない無医村は厚生労働省の平成26年度の調査によりますと、無医地区数は637地区、無医地区人口は124,122人になっています。これはその前の調査(平成21年)にくらべて、それぞれ減少しているとのことですが、それでもこれだけの人が無医地区に生活しているということです。

この映画はそうした社会問題にも目を向けながら、主人公の行為の是非を問うています。遵法精神に従って考えればもちろん許される行為ではありません。しかし、人道主義に則って考えた場合に、はたして主人公の行為を正面から非難することが出来るでしょうか。決して法律や理屈だけでは解決できない問題がそこには混在しているように感じます。人として何が良くて何がいけないことなのか、今の日本が直面している少子高齢化についても考える機会を与えてくれることでしょう。

それにしても鶴瓶の笑顔は人を安心させる力を持っていますね。その昔アフロだった頃はトゲトゲしさしか感じませんでしたが、年をとってからの円熟味は人生で多くの人と関わってきた証しなのでしょう。

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