【映画レビュー】タワーリング・インフェルノ

また、WOWOWの見逃し配信で見た映画のレビューです。日本では1975年に公開され、その後テレビでも何度も放送されています。スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマンの2大スターを主演に、ウィリアム・ホールデンやフェイ・ダナウェイなどを始めとした名優も多数出演しています。

アメリカの超高層ビル火災をテーマにしたパニック映画で、第47回アカデミー賞の撮影賞・編集賞・歌曲賞を受賞、その他にも多数ノミネートされています。この年のアカデミー賞作品賞は、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザーPARTII』が受賞していますので、残念ながら作品賞・監督賞は取れませんでした。

あらすじ

138階建て超高層ビルの落成パーティが大火災に襲われた!地下の発電機から発生した炎は、執拗に攻め上がりながら世界最大のビルを、数百人の生命を飲み込む炎の地獄へと変えていった。逃げ惑う人々を救出すべく、消火隊隊長オハラハンは超人的な離れわざで、ビルの設計者ロバーツは研ぎ澄まされた知性で、生死を賭けた闘いに挑む。スティーブ・マックィーン、ポール・ニューマンら超豪華スターが共演し、アカデミー賞撮影賞など3部門に輝いた。危機に瀕した人間のドラマを鮮烈に描ききったスペクタクル超大作。

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映画レビュー(ネタバレあり)

おそらくこの映画をご覧になっている方は多いでしょうから、内容にも踏み込んでいます。まだ見ていない方は、ご覧になってから読まれることをお勧めします。

私がこの映画を一番最初に見たのはまだ子供の頃だった気がします。アメリカや大人に対する憧れを持っていた頃で、何故か私の中ではクリスマスのイメージが強かったのですが、それはきっと日本テレビでの放映が12月にあったのと、私の中での”カッコいい”アメリカ人の大人というかライフスタイルみたいなものが、この映画の舞台となっている超高層ビルの竣工記念パーティとかぶっていたからなのでしょう。米国では毎日のように開かれるパーティが、幼い頃の私にはクリスマス・パーティのように見えたのだと思います。

私達の年代では、渋くて、それでいてカッコいい男と憧れたスティーブ・マックイーン。そのスティーブ・マックイーンが消防隊長のオハラハンを演じています。もう一人の主役ポール・ニューマンは、その超高層ビルの設計士。ウィリアム・ホールデン演じる施工主の社長とは、雇用関係にあるようでしたが、その社長の娘婿(リチャード・チェンバレン)もその建設に携わっています。

そしてその娘婿が建設費用を削減してピンハネするために、電線などの部材を設計士指定のものよりも低廉で脆弱なものに勝手に差し替えたため、それがショートして火事になります。

最初はボヤで済むかと思っていた倉庫内での火事でしたが、スプリンクラーなども故障で作動せず、一気に火の手が周り、やがて大火災へと発展します。設計士のポール・ニューマンと消防士のスティーブ・マックイーンは最初険悪な関係だったのが、最終的には協力して消火活動に尽力します。

CGの無かった時代で、これだけの火災現場を演出出来たのは凄いと思いますし、実際に危険も多かったのではないかと思います。

細かいところをつつけばおかしな点はいくつもあり、炎と煙の演出やバックドラフトなどもうまく描かれているわりに、誰も一酸化炭素中毒になっていないとか、あれだけ煙が充満しているのに、誰も濡れタオルを口に当てないとか、ロングドレスの女性に壊れて手すりだけになった階段を降りさせるとか、ある意味無謀な行動が目に付きます。その辺は、緊迫感を出すためと主演のポール・ニューマンにも配慮した脚本になっているのでしょう。

子供の頃は、消防隊長役のスティーブ・マックイーンの消防と人命救助にかける責任感や勇猛果敢さに痺れましたが、今回見直してみたら、どうしてどうして、ポール・ニューマンも相当頑張っていたんだなというのが、改めてわかりました。2大スターのW主演ということで、制作側も苦労した部分があるのではないかと思います。

全編で164分ですから2時間44分の大作です。録画やネット視聴なら好きなときに一時停止出来ますが、映画館だと予告も入れたら3時間の長丁場になると思いますから、当時トイレを我慢しながら上映をご覧になった方もいるのではないでしょうか。

ただ、長編にもかかわらず全編緊迫感に包まれていて、意外とあっという間に終わった感じもします。また久しぶりにスティーブ・マックイーンを始め、多くのスターが出演している「大脱走」も見たくなりました。

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