【読書感想】あなたの知らないあなたの強み

ちょっと長いタイトルなんですが、正確には、「宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる-あなたの知らないあなたの強み」という古野俊幸さん著作で日経BPから発行されたビジネス本です。

内容紹介

『宇宙兄弟』の登場人物でいえば、あなたは誰?
マンガの名シーンで“腑に落ちる”
あなたの知らない、あなたの「強み」と、その活かし方

人にはそれぞれ、自分だけの強みとその活かし方がある。
「スーパーマンは出てこない」。
けれど、日本人が成長するためのヒントが満載の人気コミック『宇宙兄弟』(小山宙哉作)。
ソニー、LINEなど大手企業も採用する「FFS理論(※)」で、
宇宙兄弟の登場人物の心理・行動を読み解きながら、
自分の強みを伸ばす考え方、取るべき行動を分かりやすく説明します。

-宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】|日経の本 日経BP-

読書感想

タイトルに「あなたの強み」と入っているので、自分再発見とか処世術的な印象を受けますが、むしろ組織の中でその性質をどう活かすかということに視点を当てたビジネス書です。私は宇宙兄弟の原作を読んだことがないのですが、具体例として途中に漫画の挿入などもあって、その場面が非常にわかりやすく構成されていました。

そもそもFFS理論とは何かというと、小林惠智博士が開発した「FFS(Five Factors and Stress)理論」のことで、人の性質を、「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」の5つの因子の多寡とその順番を通してラベリングして、それぞれの特性が持つ長所やストレスを解説したものです。

それぞれの特徴がどういったものかは読んで確認いただければと思いますが、本書ではその特徴を宇宙兄弟の登場人物に当てはめて説明しています。きっと宇宙兄弟を読んだ人なら、そのキャラクターに懐かしみを持っていることでしょうから、より自然と理解が進むことと思います。

本書によると、日本人には、「受容性」と「保全性」の高い人が多いということですが、国民性を考えると頷けます。そして「拡散性」の高い人が、いわば異端児扱いされることもしばしばですが、そのキャラクターの違いに優劣は無いということです。

以前にこちらのページでご紹介した、「すごい!お金持ちチェンジ」などは、本書で言うところの、「保全性」を「拡散性」に変えれば自然とお金持ちになる、みたいな内容ですが、おそらくそれが出来れば苦労はないと言ったところでしょう。実際に人それぞれの性格も違うし、バックボーンも違うわけですから、そうあれかしとは思っていても簡単にはいきません。

それに比べると、本書は元々組織としてのリーダー、そしてチームワークについて書かれていますので、自分と関わりのある人をうまく操縦すると言っては語弊がありますが、その人の特徴を活かした接し方、あるいは反対に自分の身の処し方についてのアドバイスという意味では、日本人の心にもわりとスムースに受け止められる内容になっていると思います。特に、「受容性」と「保全性」に関する記述が多いのも、日本人の多くの人が共感出来る内容だからでしょう。これまで人の性格として見てきたものを、理論的に読み解くことが出来る良書だと思います。

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