色々と面白いドラマが終わってしまいましたが

昨日は『99.9-刑事専門弁護士- SEASONⅡ』が最終回でしたね。この回の中で「週刊バイブス」という漫画雑誌が出てきましたが、これは以前TBSで放送されていた「重版出来」(じゅうはんしゅったい)で黒木華さん演じる主人公の黒沢心が編集担当に加わっていた漫画雑誌のタイトルです。ドラゴン急流はそのドラマ(原作は漫画ですね)の中で三蔵山先生がシリーズ化していた大ヒット作という、これもドラマの中の設定ではありますが、表紙絵もそのままでしたので随分と細部に凝った演出だと感心してしまいました。その「重版出来」の脚本を書いたのが、「アンナチュラル」と同じ脚本家「野木亜紀子」さんでした。またドラマの時に編集長だったのが、「アンナチュラル」でUDIラボの所長役を演じた松重豊さんでした。「99.9」は毎回プロレスラーや漫画家を登場させたり、小ネタを挟んだりと内容盛り沢山なんですが、色々と繋がっていて面白いですね。最終回の平均視聴率は21%とかなりの高視聴率を獲得しました。

一方、「アンナチュラル」ですが、こちらは視聴率では「99.9」に比べて劣っていますが、内容的には今期一番のドラマだったのではないでしょうか。「アンナチュラル」というのは不自然死を意味する「unnatural death」からとったものです。

主人公である法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)が働く不自然死究明研究所(unnatural death Investigation laboratory)=通称UDIラボに運び込まれる様々な遺体を解剖し、その死因を究明することが各回のテーマではありますが、実はミコトの悲惨な生い立ちや同僚法医学者中堂がかつての恋人を殺した犯人を探し出し、復讐を遂げることがストーリー全体の根幹になっています。

今まで、死因究明に関するドラマは、テレビ朝日系列でシリーズ化されている沢田靖子さん主演の「科捜研の女」や、内野聖陽さんが検死官を演じた「臨場」、あるいは上川隆也さん演じる刑事が被害者の残した遺留品から事件を紐解く「遺留捜査」など、比較的ポピュラーなテーマではありますが、ただそのいずれもが警察の組織に関係するものであり、どちらかと言うと事件解決に主眼が置かれるものでした。

しかしながら、今回主人公が勤めるUDIラボは公正中立な機関であるため、その死因から想起されるそれまでの被害者の人生や生活、それに関わってきた人たちの未来と言った生と死そのものが全体のテーマとして流れています。そして、一話完結の様相を呈しながらも、実は各回とも微妙な繋がりを持ちつつ、それが伏線となって最終回に結びつくという非常に練られた構成でした。

全話を解説するととても長くなってしまうので、最終回を見て思ったことを書きつられねていこうかと思います。

ドラマとしてどういう決着をつけるかというのは、おそらく制作現場の人たちは非常に悩むところだろうと思います。あまり無理筋では視聴者に不愉快な思いをさせてしまうし、逆にオーソドックスな終焉では、満足感に乏しいものになるだろうと思います。

今回中堂の恋人を殺めた連続殺人犯は、確たる物的証拠が残っていないために殺人犯として裁くことができそうもないという窮地に陥ります。結果として中堂の昔の恋人の遺体が火葬されずにアメリカで埋葬されていたため、それが決定的な証拠となって犯人を追い詰めることに繋がったのですが、これはドラマの初回のセリフの中で「アメリカはいいよね~。再調査ってなったらお墓から死体丸ごと掘り起こせばいいんだもん」というミコトの言葉が最初から伏線として仕込まれていたわけです。

それによって犯人の自白まで引き出したわけですが、この時の法廷戦術はミコトが3話目で女性であるがゆえに法医学者としての適性や人間性まで否定され、感情的になってしまった時のことを逆手にとっています。簡単に犯人が自供したことに対して違和感を覚える人もいるようですが、この時の経験がミコトの戦術に生かされたのであり、もう一つは第三話は最終的に証人を中堂に交代してもらうことにより裁判に勝てたわけですが、ミコトとしては途中棄権してしまっているわけです。なので今回は中堂に対する借り、そして裁判を途中退場した分の借りも返しているわけです。よってここでも伏線を回収しているわけですね。これは女性の野木亜紀子さんだからこその脚本ではないかと思いますが、おそらく何回か見直したら、他にも色んな所で仕掛けがしてあるのかも知れません。

米津玄師さんの主題歌「Lemon」も非常に印象的で最高に素晴らしかったので、出来れば続編を期待したいと思います。

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