本田健さんのいわゆる啓発小説です。最初は実際の大富豪から誰かへ書かれた手紙を期待していたのですが、小説というからにはフィクションです。現実感がないので内容的に重みは感じませんが、小説は小説としての面白さはあります。上から目線の啓発書を読むのに抵抗がある方には良いかもしれません。読んでいて目からウロコのような何か目新しいことが書いてあるかというとそうでもないんですが、内容は納得できるところが多々あります。
ただ、すでに人生の大半を過ごした人が読んでも、ただの理想論、お花畑に感じるかもしれません。おすすめの対象はまだ社会に出ていない大学生以下の学生さんでしょうか。
話がネガティブにならないように、登場人物は良い人ばかりです。その辺はご都合主義になるのは致し方ないでしょう。あまり否定的なことばかりを書いても仕方ないので、以下本書の中身に触れていきたいと思います。
主人公はまさに大学生。亡くなった大富豪のおじいさんから、お金ではなく人生において大事な言葉を贈られます。その言葉に突き動かされるように旅を始める話です。個人的には大富豪のお祖父さんからなら、ありがたいお言葉よりもお金をありがたく頂戴したいと思ってしまいますが、それでは散財してしまって何も残らないのが関の山なのでしょう。
また、大富豪という言葉からどうすればお金持ちになれるかという錬金術みたいなものを期待させますが、本を読んだくらいで大金持ちになれたら誰も苦労はしません。ただ、啓発書というのはそういうヒントが書かれているものです。あまり斜めから見ないで時に素直に受け入れることも必要でしょう。
以下、ネタバレが含まれます。
お祖父さんに託された手紙の内容は、大きく分けると1.偶然 2.決断 3.直感 4.行動 5.お金 6.仕事 7.失敗 8.人間関係 9.運命に分かれています。
勘の良い方ならこれを見ただけで内容がほぼ把握できるのではないかと思います。皆さんがまさに想像した内容で話のストーリーが展開していくと思います。そういう意味では、これから大きな未来が開けている若者にとっては勇気づけられる内容だろうと思いますし、逆に人生で多くの人に騙され、裏切られ、散々煮え湯を飲まされてきた人にとっては、まったく共感出来ないものになっているかもしれません。まっさらな気持ちで素直に受け入れて行動できる人、そういう人に向いているだろうと思います。
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