【読書感想】世界でバカにされる日本人

最近少し落ち着いてきましたが、少し前のテレビ番組の中には、たしかに、「日本はこんなに凄い!」「日本人はこんなに立派だ!」みたいな自画自賛番組がもてはやされていました。この本はそんな能天気日本人に疑問を呈し、このままでは日本危ないぞという警告を込めた一冊です。作者は谷本真由美さんという方で、色々と肩書があるようですが、最近ではめいろま名義でわりとTwitterで多くつぶやかれている方でしょうか。以前にネット上のどこかでお見かけしたように思います。

さて、読了と言うほどのページ数ではないので、旅行や出張のお供に気楽に読めるという点では良いのではないでしょうか。量的にも内容的にも、二、三時間もあれば読めると思います。

その内容なんですが、私もおそらくこの本が書かれたであろう頃のテレビで報じられる、「日本人のここがスゴイ」、「日本のここが素晴らしい」なんていう誰のためのヨイショ番組なのかよくわからない状況は、見ていて煩わしく思うことがありました。そういう意味では私のような天の邪鬼のさもしい心に共鳴するキャッチーなタイトルは、あらかた成功しているのではないかと思います。

実際に日本人の多くの人があの手の番組を見て、「ああ、やっぱり日本て凄い国なんだな~」とか、「日本ってサイコー!日本人に生まれて幸せ~(は~と)」と思っていたのかどうかは疑問ですが、ブログでもインスタグラムでも「いいね!」をもらうのに一生懸命になる承認欲求の強さを考えると、日本人素晴らしい番組は一部のマニアに受けが良かったのでしょう。

とは言え、TV番組などは大抵流行を追いかけて、一つの番組が当たれば二匹めのドジョウを狙って似たような番組が粗製乱造される世界でしょうから、それほど眉をひそめる必要もないのでしょう。特に最近では、何も考えずにテレビ番組の情報などを鵜呑みにしてボーッと生きているとチコちゃんに叱られます。

テレビは流行を追うので、ほとぼりが冷めた頃にまた大量発生する危険性はあるでしょう。最近のブームは、「平成最後の○○」ですね。なんでもこれをつければいいと思っているのか、そろそろ平成最後ノイローゼが発症しそうです。どうせ新元号になったら、今度は、「○○(新元号)最初のなんとかです」とか始まるんだろうというのが目に見えてますが、その辺の胡散臭さも含めてテレビ番組は成り立っているのでしょう。つい最近も、とあるバラエティ番組でやらせが発覚して問題になりましたが、バラエティなんて最初からやらせのオンパレードだろうと思っている私にとっては、バラエティに一体何を求めているのか、そちらの方が不思議に思ったりもします。

さて、脱線が過ぎました。本書はそう言ったおめでたい日本人に警鐘を鳴らすということで書かれていますが、実際に今も多くの国際問題を抱えて、明日にも巨大地震が起こりそうでもあり、あるいはこれだけ社会問題化しているにも関わらず、あおり運転を繰り返す人の多さやアクセルとブレーキ踏み間違えて事故を起こす高齢者が増えていること、勘違い親分の多いスポーツ界や、やれハロウィーンだ成人式だ、暴れちゃえ、という若者の多さを目の当たりにした時、誰しも「日本人凄い」とは思わないでしょう。ですので、普段からそう考えている人はあまり読む必要の無い本ではあると思いますが、日本人至上主義に陥っている方がもしいるとしたら、一読するのも悪くないのではないでしょうか。

世界でバカにされる日本人

谷本真由美 ワニブックス 2018年08月20日
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